佐藤可士和の超整理術

身の回りの物の整理、情報の可視化、視点の導入と転換など、書かれていることは他のビジネス書や自己啓発書とあまり変わらない。そういった本をすでに読んでいる人には期待外れになるかもしれない。


この本の価値は「佐藤可士和」がそれらを実践し、その成果が目に見えたり、はっきりとイメージできることにあると思う。例えば、「視界に多くの物が見えていると気が散ってしまうので、一つのことに集中できるよう机をすっきりさせた」という説明も、本の中の写真だけでなく、多くの読者がすでに他の雑誌などで彼のオフィスを見たことがあり、すんなりとイメージできるからこそ、他の本より何倍もの説得力がでる。メディアで紹介されている彼の作品や考え方に共感できればなおさらである。


そういう意味で、この本は彼のファンには「効く」ビジネス書だと思う。自分も他の本で読んで重要なことだと思いつつ、印象の残ってなかったことを彼というフィルタを通すことで再確認できたし、今後彼のオフィスの写真を見るたびに上記のようなことを思い出せそう。そういう意味でこの本を読んだ価値があった。


◆読書メモ

整理するには、客観的な視点が不可欠。対象から離れて冷静に見つめないと、たくさんの要素に優先順位をつけたり、いらないものをバッサリ切り捨てたりすることができない。


物事を整理しながらプライオリティをつける訓練を日頃から行っていきたい。必ず仕事の精度が上がる


本質を探るというのは、どんどん引いて離れていくこと。客観的に見つめてこそ今まで気づかなかった真意やエッセンスが発見できる


相手の言っていることがある程度まとまったら「それってこういうことですか?」と自分なりの言葉に置き換えて投げ返してみる


対象と自分との接点に近づいていくことでリアリティが生まれる


まず現時点で材料としてあるものをうまく並び替えてみる。新しいものをゼロから生み出すのではなく、目の前にあるものを的確な視点で組み替えることで、見違えるほど精度が上がる

佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和の超整理術