インテルがマーケティングに積極的な理由を推測する


インテルというと、(イタリアのサッカーチームを除くと)一般にはPCのCPUメーカーとしてそれなりに名が通っていると思うが、実際にインテルのCPUを買う機会は、自作ユーザーを除いてほとんどいないと思う。つまり一般ユーザーとはやや縁の遠い会社だ。


しかし、マーケティングにはとても積極的だ。こないだまでは単独でCMをうっていた(サボテンの「あ、痛い!会いたい!」は結構好きだった)し、各メーカーのPCの広告にもロゴを露出している。また、普段からインプレスPC Watchなどを見るとわかるが、マスコミへの説明会を頻繁に開催するなど啓蒙活動にも積極的だ。これらにはかなりの予算を使っていると思われる。


じゃあ、それらを見て「インテルのCPUを積んだPCを買おう」と思う人はどれくらいいるかと考えると、ほとんどいないと思う。PCを買うときの比較検討材料といえば、価格や機能、メーカーなどが中心で、特に処理速度が頭打ちになりつつある今、CPUのメーカーやブランドを意識することはまったくないことはないが、かなり少ないだろう。なのになぜ一般向けマーケティング活動に積極的なのか疑問に思っていた。


先日、インテルが協賛するアジャイルメディアネットワーク(AMN)主催ブロガーズイベントに出席してきた。そこでインテルマーケティング部長さんがブロガーの質問に答えていたのだが、「そういった質問はよく聞かれる」といいつつも、イマイチはっきりしない答えだった。


インテルのこれまでと今後の取り組みを聞いていると、家電にも目を向けつつも基本はPCありきで、ケータイに関しては無関心のようだった。それよりもUMPC(ウルトラモバイルPC)を挙げ、ケータイよりもPCによるインターネットの方がリッチな体験できることをアピールしていた。


それもそのはずで、インテルは去年、XScaleをはじめ携帯向け半導体部門を売却している。競合がひしめき合うケータイからではなく、圧倒的な地位を確保しているPC側からモバイル分野を攻めようとしているのだろう。


そうやって考えるとインテルマーケティング活動は、人々のPCに対する関心や利用を続けさせようという目的からくるものではないかと思えてくる。もちろんAMDなど競合他社との差別化やブランドの確立というのもあるだろうが、真のライバルはケータイをはじめとする非PCであり、PCの可能性を提案することで(たとえPCを使っているという意識がなくても)PCを使い続けてもらおうとしているのではないだろうか。


ちなみに、詳しいことはわからないがPCベンダーがCMなどの広告にインテルのロゴを露出することで広告費を援助していることは有名だし、IT系マスコミもインテルをはじめマイクロソフトIBMなどPCやサーバー関連ベンダーの出稿による広告料が収入においてかなりの割合を占めているといわれている。ハードだけでなくお金の面でもインテルはPC業界を支えており、その将来の行方を握っているといえるかもしれない。


(正直いってインテルの広告戦略があまりうまいとは思えないのが残念なところ)