考えないヒント―アイデアはこうして生まれる

この本に書いてある考え方をマネしていくことで、仕事にも生きることにも、肩の力を抜きつつポジティブに楽しくなれそうな、小山薫堂さん的思考がギュッと詰まった本。


キーワードは「アイデア体質」と「偶然力」。日常のそこらに落ちているアイデアの種を見逃さず「これは何かわからないけど、何か将来育ちそうだ」と心のポケットに入れておくこと。そうした種や人との出会いは、ほとんど偶然かもしれないけど、そうした偶然と偶然が呼びつながって起こる「偶然の連鎖」を起こす力が「偶然力」。


少しずつ大切なことだと思ってきたことを整理し、好きなテレビやラジオ番組を作る人の言葉によって「間違いない」と再確認できた。仕事も人生も楽しむことを第1に考える人なら間違いなくオススメできる。


ちなみにこの本と出会ったのも、他の幻冬舎新書を読んでいるとき、巻末で紹介されていたのがきっかけ。この本に出会えた偶然力に感謝し、次につなげていかなきゃ。

考えないヒント―アイデアはこうして生まれる (幻冬舎新書)

考えないヒント―アイデアはこうして生まれる (幻冬舎新書)

以下、読書メモ(ネタバレ)

■はじめに

イデアというものは、考えたから浮かぶとは限りません。どんなに考えても思いつかないものは思いつかない。重要なのは、考えるテクニックではなく、自分の体をアイデア体質に変える、ということです。


■1章 考えるけれど、考えない

イデアは、頭からではなく、体から生まれる。アイデアを生み出しやすい体のことを、僕は「アイデア体質」と呼んでいますが、もしいいアイデアをたくさん出せるようになりたいなら、体質をアイデア体質に変えるしかない。それが一番の努力ではないかと思います。


「個々をこうやったらもっと良くなるのに」と感じることは、何かを発想したり思いついたりするのに、一番いいモチベーションになるんです。


多分、なんの意味もない偶然というものは、実はあり得ない。すべては必然に向かった偶然なんだと思うんです。偶然が偶然を呼びつながっていく。この「偶然の連鎖」を起こすチカラが「偶然力」です。


当事者が「ダメだ、ダメだ」と頭を抱えていても、第三者から見たら「どうしてこんないいことに気がつかないんだろう。すごくもったいないなあ」と思うことってたくさんありますよね。同じように、自分を第三者の立場に置いてみると、つまずいている原因がちっぽけなことだと気づくとか、いいアイデアが浮かぶことが多い。


■2章 アイデアは化学反応

一見関係のなさそうなこっちの人とあっちの人を結びつけたり、こっちのアイデアとあっちのアイデアを結びつけたりすることで、新しいアイデアが生まれる。それがアイデアの化学反応です。


仕事イコール「仕える事」ですよね。僕は自分がやりたいからやるだけであって、誰かに仕えてやっているわけじゃない。「自分がしたい事」、つまりは「志事」や「私事」なんです。だからあまりプレッシャーを感じることなく、いつも楽しんでいられるのかもしれません。


「これは何かわからないけど、何か将来育ちそうだ」というものがあったら、それを種として、心のポケットに入れておくんです。


忙しくても楽しい。いや、忙しいなかで遊ぶからこそ楽しい。忙しさのなかの遊びを見つけるという事はすごく大事なんです。


すごく考えて書いた原稿で、これは面白いだろうというのを送って、せめて一言、「面白かったです」とか、「個々がこうよかったです」と言ってくれたらいいなと思うのですが、何も言ってくれない。そういうときは、なんだか損したなという気になります。


マイナスのリアクションでも、それはそれでいいんです。何も言われないよりもずっとうれしい。もちろん、面白いなと褒められたら、もっとうれしい。心からでも、お世辞でも、そのあたりはそんなには気にしません。


■3章 アイデアの種はここにある

そもそもなぜ企画書を書くのか、考えた事はありますか?答えは一つ。自分のやりたい事を実現するために書く。それが企画書です。当たり前の事なんですが、意外とこのことを忘れている人が多い。


一つを生み出すために、これだけたくさんのものを考えましたよというアピールの仕方はあります。これだけ膨大にあるなかから考え抜いた結果、この一個に決めましたという事を上手にプレゼンできたら、相手を納得させる格好の材料になると思います。プレゼンの一つの方法として、意識しておいてもいいのではないでしょうか。


僕は何か新しいことをやろうと決めたとき、三つのことを考えます。一つは、「それは誰かがやっていないか。すでにもう他の人が同じことをやっているのではないか」ということ。二つめが、「それは誰を幸せにするか」。三つ目は、「それが自分にとって面白いか」。なかでも「それは誰を幸せにするか」ということは特に大切だと思います。


仕事には、きっかけを作るための仕事と、それだけで完結させて結果を出す仕事と二つがあるんだと思います。僕は自分の実績をわかってもらえるような「名刺になる仕事」と、「お金をもらうための仕事」とを、分けて考えていたかもしれない。


イデアがたくさん次から次へと出てくる人は、欲望がたくさんある人とも言えると思います。欲というのは、自分の状況をよりよくしたいとか、ラクになりたいとか思うことですよね。楽をするためにはどうすればいいんだろうと考えるのは、アイデアそのものです。


■4章 偶然力を鍛えよう

実際はどうあれ、うまくいっているように見せることは、すごく大事です。「この人に頼めば、きっとまたうまくやってくれるだろう」と思ってもらえますから。


今日の前で起きている偶然に思えることをすべて必然と思えるかどうか。偶然力を一番鍛える方法は、自分には偶然力があると思いこむことだと思います。


今日の前にあることは、すべて未来への貯金なんだと思って、一つ一つを大切にしていく。そうしていると、次に何かあったときに、これこそが偶然力だって思いますよね。そう思うだけで日常はぐっと楽しくなるんです。


例えば十万円投じたとしても、それで自分のPRとか宣伝になると考えたら、それはすごく生きた広告です。いつか必ず返ってくる。未来への貯金というのはそういうものです。


■5章 アイデア体質のつくり方

いつも同じような刺激だけではなくて、いろいろなところから思いもよらない刺激を受けた方が、様々なアイデアが出てくる。そういう普段使っていない脳の細胞、シナプスの乾いているところに水をしみこませる行為が旅だと、僕は思うんです。


日常のことを一生懸命クリアしようと思っているだけだと、それだけでもう、いっぱいいっぱいになってしまって、それ以上のことは浮かんでこないんじゃないかと思います。だからあえて自分らしくないことや、思いがけないことをやる。そうすることで、日常の閉塞感を打破できたり、発想につながったり、後々自分の人生を変えたりすることができる。


ひんしゅくは金を出してでも買え」というのが幻冬舎の社長の信条だそうですが、僕は「夢は金を出してでも買え」と言いたい。金ごときで買えるものだったら、買っておけばいいと思うんです。それくらい、どんなことでも、自分自身で経験してみることには価値があると思います。


もちろん実っていない種もたくさんあります。でも自分はあまり歩留まりのようなことは気にせず、一つでも多くの面白い種を拾うつもりで、いろいろと変なことしています。そうやって、何となく種をたくさん拾っておくことが、偶然を必然に返る秘訣だと思うのです。


いいアイデアを思いついたら、まずあの人に持って行ってあげたいと思わせなきゃいけない。だから「発注」するのではなく、一番いいアイデアを「譲っていただく」という姿勢で仕事をしていくつもりだと、彼は話してくれました。そこでは当然、彼が培った営業的なセンスが物を言います。「あいつに面白いアイデアは言いたくないな」と思われたらアウトです。


自分はピッチャー型ではなくキャッチャー型だから、アイデアの才能がないと思っている人がいれば、それは間違いです。人のアイデアを上手にリードして、それを大きくすることも一つのアイデアの才能です。


言われたことだけするのではなく、なんのためにその仕事をするのか、目的をはっきりさせることが大事だとわかって欲しいと思います。これをやれと言われたからやるというのではなくて、そのプロジェクトを客観的に俯瞰してみて、、何のためにこれをやるのかと考えること。


そのミッションで一番大切なことをまず見極めて、それを成就させるためにどうすればいいかを自分なりに掴む。いいアイデアというものは、その上に成り立つものだとお思います。


自分のプロフィールを作っておくと、相手に自分の情報を伝えやすくなる。それは自分の名刺の中に、もう一つ目に見えない名刺を持っているようなものです。


ただ贈り物をするというのではなくて、相手の記憶に残る贈り物をするというのも、人間関係を広げるための一つの手段だと思います。