大失敗!?「ドコモ2.0」

「ドコモ2.0」のCMを見て、自分の仕事にも通ずるところがあったので、まとめてみる。
 

このCMに対する批判はJ-CASTニュース 大前研一にこきおろされた 「そろそろ反撃」ドコモCMにだいたいまとまっている。抜粋すると

「若者受けする『新しさ』『カッコ良さ』を前面に押し出す戦略だが、携帯利用者からは『イメージ先行で分かりにくい』という声も漏れる」

「つまり、大々的な広告は打ったが、買う人はいなかったという最悪の結果につながる危険性が高いと私(大前氏)は思います」

「『そろそろ反撃してもいいですか?』って?勝手にしてください(笑)」
「新機種にどんな機能がついてるか全くわからない」
「あのCMはウザい!金かけりゃいいって感じで印象が悪い」
「でも、あのCMにはちょっと夢中ですわ〜。光一くんも出て欲しかったくらい。まぁ、ドコモに変えようとは思わないけどね〜〜」
「CM制作者を呼んで問い詰めたい。CMという作品の向こうに全然顧客を見ていないぞと」

こうした反響に対するドコモの対応が

「あのCMは数多いプロモーションの一つ。仮にその一つにブーイングがあったとしても、総合的にはどうか、ということもあります。このCMに限ったことでなく、(批判する)皆様が、お感じいただいた通りに取っていただいて良いと思います」

ちなみに大前氏はこうもいっている。

しかし、「反撃しても、いいですか?」などという挑戦的な
キャッチコピーを見れば、消費者は「値下げするのかな?」と
思います。

結果、消費者の買い控えを引き起こす可能性があります。

つまり、大々的な広告は打ったが、買う人はいなかったという
最悪の結果につながる危険性が高いと私は思います。

んじゃぁ、このドコモ2.0から何が出てくると思ったら、これだ。


http://docomo2.jp/top.html#service
http://docomo-natsu2.jp/pc/index.html


2in1(見た目上の利用者増加につながるし、ニーズもあるだろうから戦略上は悪くないと思う)はいいとして、他は何か新しいことやっているだろうか?「夏2.0」なんて単にプレゼントと一時的な割引券をばらまくだけの「適当にやっとけ」キャンペーンにしか見えない。そこにユーザーの姿はほとんど見あたらない。


これらを見て、このキャンペーンを企画(製作・実行を広告代理店に依頼)した人やGOを出した人は、ドコモ社内とauソフトバンクしか見えておらず、ユーザーは蚊帳の外になっているんだろうな、とひしひし感じる。自分も仕事で感じたことがあったけど、「上からの圧力」を受けた担当者はこの道に走りやすい。「その決定」をユーザーがどう見るかがおざなりになってしまうのだ。


対するauが以前から使っているキャッチコピー「お客様満足主義で行こう」「auデビュー」は、うわべだけかどうかわからないけど、少なくとも「そこにユーザーがいる」プロモーションになっていると思う。「」はぱっと見イマイチわかりにくいけど、内容はユーザーが「あるある」と共感を誘うものだ。


思うに、こうしたキャンペーンを展開する場合、自分の視点を一度社外に出して第三者的視点で考えることが必要だ。しかし自社が大好きだからかどうか知らないけど、多くの人がそれをできず、自社を思い切りひいき目で見ることしかできない。ドコモの担当者なら、思い切ってauソフトバンクユーザーになって、どうすれば自分はドコモに乗り換えるかぐらい常に考えた方がいい。「そろそろ反撃していいですか」なんて大っぴらに宣っているドコモにその姿勢は微塵にも感じられない。


まだドコモがすべての「秘密」を出したわけではないが、最初がこの様子ではおそらくドコモ2.0キャンペーンは失敗に終わると思う。反撃はならず「ドコモ1人負け」の構図はしばらく変わらないだろう。ドコモから移転しようとする人が急増することはないが、ドコモがこんなことやっている間にauソフトバンクがユーザーの共感を得る施策を続けることができれば、それがボディブローのように効き、さらにドコモは焦るかもしれない。


ドコモ2.0キャンペーンは、「ドコモに移転ゼロ」だけでなく、ドコモの姿勢がユーザーにとって「ドコモにいい点ゼロ(←どこかで見たパクリだけど)」という姿勢をさらけ出すものになりそうだ。