ideapad(アイデアパッド)に「黒」を出すべき理由

ideapad ヒンジ

ついに日本でも発表されたレノボの「ideapad」。スペックなどはメディアにお任せして、AMN主催のブロガーイベントで早速触れてきたので、ファーストインプレッションとタイトルのような考えが浮かんだ理由をば。

レベルの高いネットブック

ideapad s10e

一言で言うと「質実剛健」。ネットブックながらもThinkPadの血を受け継ぎ、がっちりと作られていた。違うのはサイズと筐体の色、ポインティングスティックがないことぐらい。

見た目はEeePC 901-Xのホワイトに近いが、横幅が広いためキーボードに余裕がある。キーの大きさはS101とだいたい同じくらいだが、打ちやすさは同等かそれ以上。これもThinkPadの技術が生かされているという印象を受けた。ただし、左下のCtrlキーや半角/全角キーなど一部のキー配列が特殊(ThinkPad Xシリーズとほぼ同じ)なため、慣れないと日本語と半角英字の切り替えがしにくいかもしれない。

ideapadキーボード

その下のタッチパッド。妥協のないキーボードと横長スクリーンの影響で、特に縦幅がかなり狭くなっていた。少し操作したところ、見た目ほど支障があるようには思えなかったが、これならトラックポイントにした方がいいんじゃないかと思った。

ideapadタッチパッド

個人的に印象に残ったのがキーボード、タッチパッド、ヒンジなど直接触れる部分の手触り。ざらっとしたマットな仕上がりで、触ったときと離れたときの感触が絶妙ですばらしい。言葉で表現するのは難しいが、この感触がツボにはまり、手が空くと撫でてたほど気に入った(w。プラスチックだが安っぽさがなく、とにかくこの手触りはポイントが高い。

この他に気になった点をいくつか。まず、やや特殊な1,024×576という特殊な解像度。これはおそらく今流行り16:9比にして、マルチメディア性を意識したんじゃないかと思うが、普通のPCに比べて余裕のない縦幅をさらに縮めるのはいかがなものかと。

あと、「冷却性にも気を遣った」と担当者が言っていたとおり、キーボードまわりは熱くならなかったものの、冷却ファンが勢いよく回っていた。HDD搭載なので致し方ないが、使う場所やバッテリーに一抹の不安を覚えた。

ideapad バッテリー

まずThinkPadユーザーに売るべき

で、ここからが本題。ideapad自体の完成度は、他と比べてかなり高い。これはThinkPadで培った技術が存分に活かされている。しかし、マーケティング的な観点から疑問に思うところがあった。

特に筐体の色。レノボの担当者はideapadを「コンシューマ市場に初めて参入した」商品と位置づけ、ThinkPadとは異なるアイデンティティを持たせるため、あえて基本色を白にしたと言っていた。確かにビジネス上はそうかもしれないが、少し誤解していると思う。

ThinkPadのような安いだけではない付加価値の高いPCは、ビジネスコンシューマという個人に受け入れられ、その延長線上でビジネス市場での強みを発揮しているはずである。言い換えると推薦者や意志決定者を「ファン」とすることで、企業に導入されるのである。ThinkPadIBM時代からコンシューマ市場に足を突っ込んでいるのだ。

であれば、ideapadはまず既存のThinkPadユーザーにこそ強くアピールするべきではないだろうか。できる限りThinkPadに近づけて、他のネットブックに浮気する隙を作らず、確実に買ってもらう。彼らはインフルエンサーとして、周りに、あるいは企業に広めてくれる。(それを狙ってコアユーザーを集めたブロガーイベントを開いているんでしょ?)ネットブック市場はすでにレッドオーシャンだが、ThinkPadユーザーの周りは、レノボから見れば比較的青いはずである。

そのThinkPadユーザーにアピールするには、できる限りThinkPadに近づけるべきである。ではThinkPadの特徴とは何か。「丈夫で壊れない」「キーボードとポインティングスティックによる優れた操作性」「黒く無駄のないデザイン」である。

丈夫かどうかは時間をかけて使ってみなければわからないが、短時間触れた印象ではクリアしていると思う。キーボードもよくできていた。ポインティングスティックはコストとの相談だろう。54,800円で売るには今の形しかなさそうだが、ThinkPadファンなら7万円でもポインティングスティックを選ぶと思う。

そして筐体の色。これは同じ価格で黒を出そうと思えば出せるはずだ。青やピンクの天板バージョンを出す前に黒ideapadを出してThinkPadユーザーが違和感を覚えるところをつぶしていくべきなのだ。せっかく固定ファンがいるのだから、新しい市場に乗り込むなら、それを足がかりにしない手はないはずだと思う。

ThinkPadユーザーとして、手元にあるEeePC S101をオークションに出して買い替えてしまうようなideapadを出してくれるよう期待したい。

ideapadとEeePC S101

ぜいぜい・・・1年ぶりにブロガーイベントに出て、なんか調子に乗ってしまったです。